痔になりにくい生活習慣とは?日常でできる対策をわかりやすく解説

痔は急に起こるものではなく、毎日の生活習慣が積み重なって症状につながることが多い病気です。
長時間の座り仕事・冷え・便秘など、身近な習慣が肛門まわりの血流を悪くし、出血のきっかけになりかねません。
しかし、ちょっとした工夫で肛門まわりへの負担を減らしやすくなります。
この記事では、痔が起こりやすくなる理由と、今日から始められる痔のリスクを減らすコツをわかりやすくまとめました。
「便秘になりやすい」「同じ場所が痛むことがある」という方も、まずはできるところから取り入れていきましょう。

痔はなぜ起こる?リスクとなる主な要因

痔は肛門まわりの血流の悪さや、負担の積み重ねによって起こりやすくなります。
まずは毎日の生活の中に潜む負担となる動きや習慣を押さえておきましょう。

長時間の座り仕事や冷えが症状を悪化させる

同じ姿勢のまま長時間座り続けると、肛門まわりの血流が滞りやすくなります。
そのため血流が悪くなると静脈がうっ血し、それは痔の要因の一つとされています。
さらに、体が冷えると血管が収縮し、うっ血しやすい状態が続くため、症状が悪化しやすくなることも少なくありません。
デスクワークや車の運転など座りっぱなしの時間が長い場合は、

  • 1時間おきに一度立ち上がって歩く
  • ひざ掛けや腹巻きで体を冷やさない

といった工夫が痔のリスクを減らすことにつながります。

便秘でいきむことで肛門に強い圧がかかる

便秘が続くと排便時にどうしても強くいきみがちになり、肛門内の圧が上がって血管に大きな負担がかかってしまいます。
いきみによる負担が繰り返されると血流が滞り、いぼ痔ができやすい環境になりがちです。
特に慢性的な便秘は、肛門周辺の血管や組織にじわじわと圧力を与え続けるため、痔の発生リスクを高める要因のひとつになります。

硬い便や排便の遅れが血管を傷つけやすくする

水分が少ない硬い便は、肛門を通過するときに粘膜をこすってしまい、切れ痔を引き起こすこともあります。
また、排便を我慢すると腸で便の水分がさらに吸い取られてより硬くなり、それが肛門を傷つけるという悪循環に入ることがあります。
小さな炎症や傷が繰り返されると、痛みや出血が長引きやすくなるため、便意を感じたら無理に我慢しないことが大切です。

痔の初期サインと放置で悪化する症状

痔は早めに気づいて対応すれば、悪化を避けやすくなります。
日頃から体の変化をチェックしておきましょう。

排便時の痛みや少量の出血は初期サイン

排便したときにヒリつきや軽い痛みを感じる場合、肛門の粘膜に小さな傷ができている可能性があります。
また、便やトイレットペーパーに鮮やかな赤い血が付くことも、切れ痔やいぼ痔の初期症状としてよく見られます。
出血が続く場合は、痔以外の病気が隠れていることもあるため、早めに医療機関で受診してください。

便秘を放置すると炎症が進みやすくなる

便秘が続いて強くいきむ状態が続くと、肛門内の血流が悪くなり、うっ血や炎症が起こりやすくなります。
さらに、うっ血が長引くと、腫れや血栓が生じ、痛みが増していくことがあります。
炎症が慢性的になると、切れ痔が治りにくく、症状を繰り返す原因につながることがあるので注意が必要です。

悪化すると強い痛みや出血を伴い治療が必要

痔が悪化すると以下のような症状が出ることがあります。

  • 出血量が増える,出血が止まらない
  • 腫れが引かない
  • 痛みが強まる

症状が進行すると、肛門まわりが腫れてズキズキした痛みが出たり出血が増えたりすることも珍しくありません。

こうした状態は、セルフケアだけでは改善が難しい場合があるので、早めに医療機関で治療を受けるようにしてください。

日常生活でできる痔のリスクの軽減方法

痔の多くは日々の生活習慣と密接に関わっています。

腸の動きを整えて肛門まわりへの負担を減らせるよう、無理なく続けられる予防のコツを見ていきましょう。

排便リズムを一定に保つ

排便の間隔が不規則になると、便が腸の中にとどまる時間が長くなり、便は水分が抜けてどんどん硬くなります。
硬い便は出しにくく、どうしても力が入りやすくなるため、肛門まわりの血管に強い負担がかかってしまいます。 

こうした負担を減らすには、まず排便のタイミングを整えてみてください。

たとえば朝食後は腸が動きやすいタイミングなので、その時にトイレへ行く習慣をつけると自然とリズムが整ってきます。 

いきまずにスッと出せる状態がつくれれば、肛門への刺激が減り、痔の予防にもつながります。

食物繊維と水分をしっかり摂り、便をやわらかくする

食物繊維には、便にほどよく水分を含ませて出しやすい状態に整える働きがあります。

たとえば、野菜・果物・海藻・きのこ・穀類など、日々の食事に少しずつ取り入れてみてください。

食物繊維を多く含む食材を摂取することで、腸の調子が整いスムーズな排便につながります。 

また、水分が不足すると便は一気に硬くなりやすく、いきみの原因にもなります。

食事中や休憩のタイミングでこまめに飲み物をとることを意識しましょう。

しっかり水分を含んだやわらかい便なら無理なく排出でき、肛門への負担を減らすことができます。

刺激の少ない便秘薬でスムーズな排便を促す

生活習慣を見直しても便秘が続くときは、市販の便秘薬をうまく使う方法もあります。

腸を強く刺激しないタイプの中には、便がやわらかい状態を保ちやすいものもあり、比較的負担をかけにくいとされています。

とくに「非刺激性タイプ」は、刺激性の成分を配合しておらず腸を強く刺激しない設計で体質に合わせて選ばれています。

使用するときは、用法・用量を守るようにしましょう。

不安な場合は医師や薬剤師に相談してから服用してください。

痔と便秘に関するよくある質問

便秘を改善すればお尻への負担は減らせる?

便秘が続くと肛門に負担がかかりやすくなるため、便通の状態を整えることが再発予防に役立つと考えられています。便が硬くなる回数が減り、いきむ力も抑えられるため、肛門への負担が小さくなります。排便のリズムが整うと症状が落ち着きやすくなるため、日常のケアとしても取り入れたいポイントです。

痔で便秘薬を毎日使っても大丈夫?

便秘薬には種類があり、腸を刺激しないタイプであれば一定期間の使用は問題ないとされることがあります。ただし、長く続けるときは自己判断せず、医師へ相談しながら用量を調整することが大切です。日常の生活習慣を見直すことでの改善が見えてきたら量を少しずつ減らし、普段の排便リズムを確認しながら、量を調整しましょう。

妊娠中や授乳中でも便秘薬は使える?

妊娠中はホルモンの影響で腸の動きが鈍り、便秘や痔が起こりやすくなります。服用できる場合もありますが、自己判断は避け、成分によっては控えたほうが良いケースもあるため(特に刺激成分を含んだ物)注意が必要です。妊娠・授乳中に市販薬を使用する場合は、医師に相談してから服用するようにしてください。

まとめ|毎日の生活を整えて痔を防ぐ

痔は、日々の過ごし方や排便リズムの乱れがきっかけで起こりやすくなります。
長く座り続けない、便をためない、水分と食物繊維をしっかり摂るといった基本の習慣を続けるだけでも、肛門まわりへの負担を減らせます。

便の排出が難しい状態が続く場合は、市販薬を検討する際に成分やタイプを確認し、必要に応じて医師へ相談してください。

できることを少しずつ整えながら、毎日を快適に過ごせるコンディションを作っていきましょう。

監修

仕垣幸太郎 先生

大浜第一病院 大腸肛門外科部長
医学博士、日本大腸肛門病学会専門医・指導医、日本肛門機能障害研究会会員 福島県立医科大学大学院卒業。
東京山手メディカルセンター(旧社会保険中央総合病院)大腸肛門病センターで肛門疾患・排便障害の経験を積む。
以降,10年以上にわたり重症便秘症、便失禁などの排便障害診療にあたっている。
総合病院だけではなく、介護・在宅の現場での排便の問題に現場での指導やセミナーという形で取り組んでいる。