子どもが便秘になってツラそうにしていたら、親としては何とかしてあげたいですよね。
そこでよく服用されることがあるのが「酸化マグネシウム」です。
腸を無理に刺激せず、便に水分を集めて自然な排便をうながす働きがあり、子どもでも使いやすく、医師の判断で処方されることがある成分です。
この記事では、酸化マグネシウムのしくみや注意点、副作用などをわかりやすく整理しました。
正しく理解し、適切に服用するためのポイントを見ていきましょう。
子どもの便秘と酸化マグネシウムの関係
子どもの便秘は小さいコロコロ便になることが多いため、腸に水を集めて自然な排便をうながす作用がある酸化マグネシウムを検討しましょう。
酸化マグネシウムの働きと便秘改善のしくみ
酸化マグネシウムは、腸の中で水分を引き込み、硬くなった便をやわらかくする働きを持ちます。
腸を直接刺激するわけではなく、便を自然に出しやすい状態に整えるので「非刺激性便秘薬」に分類されます。
習慣性が少なく穏やかな作用であるため、子どもにも服用できる製品もあります。酸化マグネシウムは、おなかが痛くなりにくく、自然な排便リズムを取り戻すサポートにつながります。
酸化マグネシウムは何歳から使える?
酸化マグネシウムは、製品によりますが、一般的に5歳ごろから服用できるものが多いです。
ただし、年齢よりも体重に合わせた用量調整が大切で、保護者が薬の量やタイミングをしっかり管理しなくてはなりません。
誤って多く服用すると、便がゆるくなりすぎたり、下痢を起こすこともあるため注意が必要です。
刺激性便秘薬との違いと子どもに向いてる理由
便秘薬には、腸を刺激して排便をうながす「刺激性便秘薬」と、腸に水分を集めて便をやわらかくする「非刺激性便秘薬」があります。
刺激性便秘薬は即効性がありますが、長期間使うと腸が刺激に慣れてしまい、効果が薄れたり、服用しないと出にくくなったり、服用が増えてしまうことが少なくありません。
一方、酸化マグネシウムは非刺激性で、腸を無理に動かさずに自然な排便を促すのが特徴です。
浸透圧の力を利用して腸を直接刺激しない作用があり、医師の判断で子どもや妊婦さんに処方されることもあります。
子どもが酸化マグネシウムを服用するときの注意点
酸化マグネシウムは、使い方を誤ると便がゆるくなりすぎることもあります。
特に成長期の子どもは体の水分量や腎機能が大人と異なるため、服用量や期間の管理が大切です。
お子さまが服用する際は、注意したいポイントを整理しておきましょう。
酸化マグネシウムの副作用
まず、最初は少量から始め、排便の様子を見ながら量を調整することが基本です。
また、腎臓の機能が十分に発達していない子どもでは、まれにマグネシウムが体内にたまりやすくなる場合があります。
長期間服用する際や、もともと腎臓に不安がある場合は、医師に相談してください。
長期使用しても大丈夫?
酸化マグネシウムは腸を刺激しないタイプの便秘薬で、習慣性がほとんどないとされています。
ただし、長期にわたって使用する場合は医師に相談し、自己判断で続けるのは避けましょう。
便の状態や体調の変化を確認しながら経過を見守り、必要に応じて用量を見直すことが大切です。
子どもが嫌がらずに酸化マグネシウムを服用できる工夫
子ども向けの酸化マグネシウムは粉薬のものが多く、子どもによっては味や口あたりを嫌がることがあります。
その場合は、少量の水やゼリー・甘味料入り飲料などに混ぜて服用しやすくしてみましょう。
ただし、誤って多くの飲み物に混ぜると量が増えすぎて飲み切れなくなるため、少量で混ぜるのがポイントです。
服用後は軽く水を飲ませて口の中をすすぐようにすると、残った粉っぽさを感じにくくなります。

便秘を根本から改善する生活習慣とサポート方法
薬で便を出しやすくしても、食事や生活リズムが乱れたままでは再び便秘をくり返すことがあります。
子どもの便秘を根本から改善するためのポイントを見ていきましょう。
食事と生活リズムで腸の動きを整えるコツ
子どもの便秘を防ぐには、まず毎日の食事と生活リズムを整えることが基本です。
野菜・果物・海藻類などに多く含まれる食物繊維を意識的に取り入れることで、腸内環境を整え、自然な排便をうながせます。
朝食後に腸が動きやすいタイミングを利用してトイレへ行く習慣をつけるのも効果的です。
また、睡眠不足やストレスも腸の働きを鈍らせるため、規則正しい生活リズムと安心できる環境づくりを心がけましょう。
水分補給と運動で自然な排便をうながす
子どもの便秘には、水分不足も大きく関係しています。
体の水分が足りないと便が硬くなり、出にくくなってしまうため、こまめな水分補給が欠かせません。
特に運動や入浴後は、汗で水分が失われやすいため注意が必要です。
また、体を動かすことは腸の動きを活発にするうえでとても効果的なので、遊びながらできる軽い運動を取り入れてみてください。
《運動の例》
・縄跳び
・ボール遊び
・鬼ごっこ など
楽しく体を動かす習慣をつくることで、腸の動きを自然に整えやすくなります。
サプリと医薬品の違い
サプリメントは栄養補助を目的としており、便秘の改善を目的とした薬効は期待しにくいです。
日常的なマグネシウム補給には便利ですが、即効性を求める場合には向いていません。
一方、酸化マグネシウムを含む医薬品(第3類医薬品)は、腸に水分を集めて便をやわらかくする作用があり、早い効果が期待できます。
目的や体調に合わせて選ぶことが大切なので、子どもの場合は医師の指導下での使い分けをするようにしましょう。
酸化マグネシウムで改善しないときは?医師に相談すべきサインと対応
子どもの便秘は一時的なものもありますが、なかには腸の病気やホルモン異常など、治療が必要なケースが隠れていることもあります。
受診の目安や検査が必要となる場合、適切に使用するための確認ポイントをチェックしましょう。
医師に相談すべきサイン
酸化マグネシウムを服用しても数週間たっても改善が見られない場合は、医師に相談が必要です。
また、血便が出る・発熱をともなう・体重が減ってきたといった症状があるときも、早めの受診をおすすめします。
便秘が長引くことでお腹の痛みや食欲不振が続くこともあるため、少しでも違和感を覚えたら医療機関で確認しておくと安心です。
検査や治療が必要になるケース
便秘が慢性化している、または薬を使っても改善しない場合は、腸の動きや形に問題がないか検査を受けてください。
たとえば、腹部エコーやX線検査で便のたまり具合を確認したり、血液検査で甲状腺や代謝の異常を調べたりします。
原因に応じて、酸化マグネシウムだけでなく、整腸剤や漢方薬などを組み合わせて治療を進めることもあるので覚えておきましょう。
続けるためのチェックリスト
酸化マグネシウムを服用する際は、次のポイントを意識しておきましょう。
- 用法・用量を守ること
- 便の状態を見ながら無理に毎日服用させないこと
- 食事・水分・睡眠など生活習慣の改善も行うこと
- 症状が悪化したときは自己判断せず受診すること
生活リズムを整えながら酸化マグネシウムを服用することが、子どもの便通の改善につながることがあります。
まとめ
酸化マグネシウムを正しく服用して子どもの便秘をサポート
酸化マグネシウムは腸を刺激せずに作用するため、穏やかに排便をうながすタイプの便秘薬です。
日常の食事・水分・運動を整えながら、必要に応じて市販されている酸化マグネシウム配合の医薬品を検討してみましょう。
酸化マグネシウムを主成分とする便秘薬も第3類医薬品としてドラッグストアなどで購入できます。
お子さんの体調を見守りながら、医師や薬剤師に相談しつつ、無理のないペースで腸のリズムを整えていきましょう。
監修
仕垣幸太郎 先生
大浜第一病院 大腸肛門外科部長
医学博士、日本大腸肛門病学会専門医・指導医、日本肛門機能障害研究会会員 福島県立医科大学大学院卒業。
東京山手メディカルセンター(旧社会保険中央総合病院)大腸肛門病センターで肛門疾患・排便障害の経験を積む。
以降,10年以上にわたり重症便秘症、便失禁などの排便障害診療にあたっている。
総合病院だけではなく、介護・在宅の現場での排便の問題に現場での指導やセミナーという形で取り組んでいる。