「便秘だから水分摂るようにしたのに、なぜか出ない……」
水分だけ増やしても便秘が改善しないときは、食事の内容・腸の動き・生活リズムの乱れが影響していることがあります。
このまま放置すると、いきみが増えてお腹の張りや不快感が続くだけでなく、肛門付近への負担が大きくなる可能性もあります。
この記事では、水分をとっているのに便秘になる主な原因と、今日からできる改善策をまとめました。
便秘薬の選び方や注意点も整理しているので、ぜひ参考にしてください。
水分をとっているのに便秘になるのはなぜ?
水分摂取を増やしても便秘が続くときは、「水分のとり方」や「便の材料」「腸の動き」が関係しています。
水分量が足りていない、または一度にまとめて飲んでいる
水を飲んでいるつもりでも、量が足りていなかったりまとめて飲んだりすると、腸の中の水分が不足した状態になりがちです。
また、コーヒーやお茶で水分を摂ったつもりになり、利尿作用で水分不足になっていることもあります。
便をやわらかくするには、腸の中に水分が常に一定量あるように、こまめに水を飲むようにしましょう。
一般的な目安は1回あたりコップ1杯で、朝・昼・夕方・入浴前後などに分けて摂取すると、腸に水を保てやすくなります。
便を作る材料(食物繊維・脂質など)が不足している
水だけ増やしても、便そのものが作られていないと量が増えません。
便は水分に加えて、食物繊維などの「かさ」になる材料が必要です。
具体的には次のような食材が挙げられます。
《食物繊維の多い食材》
- 玄米、オートミール、全粒粉パン
- さつまいも、ごぼう、ブロッコリー
- きのこ(しいたけ・えのき・しめじ)
- 海藻(わかめ・ひじき・もずく)
- 豆類(大豆・納豆・おから・レンズ豆)
- 果物(りんご・バナナ・キウイ)
野菜や海藻・きのこ・豆類なども組み合わせながら食事をとるようにしてください。
さらに、適度な脂質も便の通りを助けるため、極端な脂質カットは便秘を長引かせる原因になるので注意しましょう。
腸の動きが弱く、水分を便まで運べていない
自分の意思で腸をうごかすことはできませんが、ぜんどう運動(蠕動運動)という動きを通して便を先へ送る器官です。
ところが、この動きが弱いと腸の中で便が滞留しやすくなり、水分をとっていても排便につながりにくくなります。
なお、腸の動きに影響を及ぼしているのは以下の通りです。
- 運動不足
- 生活リズムの乱れ
- 強いストレス
- 睡眠不足 など
水分は足りているのにスッキリしない場合、上記のような腸が動くきっかけが不足しているからかもしれません。
座りっぱなしが多い人は体を動かすようにし、睡眠をしっかりとって規則正しい生活を送るようにしましょう。
水分摂取以外の便秘対策とは?
水分を増やしても便が出ないときは、食事や運動のほか、便秘薬を使用する方法があります。
不溶性・水溶性食物繊維をバランスよくとる
食物繊維には大きく分けて2種類あり、役割が違います。
不溶性食物繊維は便のかさを増やし、水溶性食物繊維は便の水分保持を助けてくれます。
具体的には次のような種類があります。
- 不溶性食物繊維:きのこ類、豆類、ごぼう、玄米、全粒粉パン
- 水溶性食物繊維:海藻類、オクラ、山芋、果物(りんごなど)
どちらか一方が偏ると、便が硬いままだったり、逆に詰まりやすくなってしまいます。
食事は「主食だけ」「野菜だけ」より、豆類や海藻なども含めてバランスよく摂取するようにしましょう。

軽い運動や腹部刺激で腸の動きを促す
腸は体の動きの影響を受けやすい部位です。
座りっぱなしが多い人は、ウォーキングなどの軽い運動を入れるだけで排便リズムを整える助けになります。
また、腹部を温めたり「の」の字マッサージを行うことも、腸が動くきっかけ作りとして有効な方法の一つです。
さらに、排便リズムを崩れにくくするために、毎日同じ時間にトイレに座る習慣もつけましょう。
便秘薬を服用する
食事や生活習慣を整えても便秘が続く場合は、便秘薬を使う方法もあります。
便秘薬は「便をやわらかくするタイプ」「腸の動きを助けるタイプ」など、作用の仕組みや強さが製品によって異なります。
目的に合わないものを選ぶと、効きにくかったり下痢や腹痛が出たりする原因になるので、 用量・用法を守って使ってください。
痛みが強い場合や症状が長く続く場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
便秘になりやすい人に合う便秘薬の選び方
食事や生活を整えてもつらいときは、便秘薬で負担を減らす方法があります。
選び方を間違えると、お腹の痛みや下痢で続けられなくなるためチェックしておきましょう。
腸内で水分を集めやすいか
腸はとても乾燥しやすい場所です。その代表的なものに「便に水分を含ませて出しやすくするタイプ」の便秘薬があります。腸を強く動かすのではなく便の水分量を整えてくれるので、水分を摂っても便秘が続く人は、このタイプを検討してみてください。
本来の状態に近い排便を促す非刺激性タイプか
便秘薬の中には、腸を刺激して出すタイプと、便の硬さを調整して排便を助けてくれるタイプがあります。
刺激性のタイプは即効性を求めやすい反面、人によってはお腹の痛みが気になることがあります。
普段からお腹が痛くなりやすい人は刺激が少ないタイプを選ぶようにしましょう。
年齢や調子に合わせて量を調整しやすいか
便秘は日によって状態が変わり、毎回同じ量で固定して服用すると、効きすぎたり効かなかったりすることがあります。
そのため、用量を段階的に調整できる薬を選ぶのがポイントです。
普段は通常通り服用し、便が出るようになったら量を少なくすることができます。
ただし、持病がある人、服用中の薬がある人、妊娠中・授乳中・高齢者は、購入前に医師や薬剤師へ相談してください。
よくある質問(FAQ)
水分を多くとると、逆に便秘が悪化することはありますか?
一度に大量の水を飲んでも、吸収は段階的に進むため腸に水分が長く残るとは限りません。さらに水分だけ増やして食事量や食物繊維が少ないと、便の材料が足りず量が増えにくくなります。水分を摂りつつ、主食・野菜・豆類など、バランスよく摂取しましょう。
水は1日にどれくらいを目安に摂ればいいですか?
食事以外の飲み物としては、1日1.5〜2Lを目安に考えられることが多いです。ただし体格や運動量、気温で必要量は変わります。そのため、喉の渇きが続かないか、尿の色が濃すぎないかを確認しながら、飲む量を調整してください。心臓や腎臓などの病気をお持ちの方は,どのくらいの量を飲んで良いか主治医の先生に確認してください.
水はいつ飲むと便秘対策になりやすいですか?
起床後は腸が動きやすい時間なので、まずコップ1杯の水を飲むと排便リズムを作りやすくなります。日中も食事前、外出前、入浴前後に分けて飲むと腸内の水分が途切れにくくなります。まとめ飲みより回数を増やすと、便が硬くなりにくく、いきみも減らしやすくなります。
まとめ|水分をとっているのに便秘が続くなら、原因を切り分けて対策する
水分を増やしても便秘が改善しないときは、水分の量だけが問題ではありません。
まとめて飲んでしまう、便の材料が足りない、腸の動きが弱いといった要因が残っていると、便の水分が安定せず便秘になってしまうことがあります。
「水分をこまめに分けて飲むこと」と「食物繊維を不溶性・水溶性の両方で整えること」を軸に、軽い運動や健康的な生活を送ることで腸の動きを後押ししてください。
食事や生活を整えても改善しない場合は、便をやわらかくして出しやすくするタイプなどの自分に合った便秘薬を選びましょう。
監修
仕垣幸太郎 先生
大浜第一病院 大腸肛門外科部長
医学博士、日本大腸肛門病学会専門医・指導医、日本肛門機能障害研究会会員 福島県立医科大学大学院卒業。
東京山手メディカルセンター(旧社会保険中央総合病院)大腸肛門病センターで肛門疾患・排便障害の経験を積む。
以降,10年以上にわたり重症便秘症、便失禁などの排便障害診療にあたっている。
総合病院だけではなく、介護・在宅の現場での排便の問題に現場での指導やセミナーという形で取り組んでいる。